ベートーヴェンフェスティバル:モントリオール交響楽団

ベートーヴェンフェスティバル

モントリオール交響楽団 / ケント・ナガノ指揮

 

モントリオールではたくさんのフェスティバルが開催されています。アート、フード、ジャンルも様々です。

今回はそのうちのひとつ、ベートーヴェンフェスティバルと題されたモントリオール交響楽団(以下OSM)のクラシックコンサートについて書いていきます。ただの長々とした感想文になりましたが。

 

プログラムの表紙

 

まず最初に。わたしはクラシックは好きだけれどそこまで詳しくなく、「この指揮者のこの楽団の(何年何月の)演奏が一番!」のようなこだわりは持っていません。有名な演奏者もほとんどわかりません。

弦楽器も管楽器も弾けないので(辛うじて打楽器とチェロは触ったことがある程度)、専門的な知識も用語もよく知らない、完全に初心者の単純な感想だと思ってください~。

 

今回は1週間の開催期間のうち3日間通い、すべて違う席から聴きました。初日は1回席の後方、2日めは2回席の真ん中、3日めは3階席の端。

 

OSMを現地で連日聴けるというまたとない機会だったので、今思い返しても本当に贅沢な時間を過ごしたなとうっとりしてきます。

昔、デュトワが指揮をつとめていた頃の音源はテレビかなにかで?聴いたことがあるのですが、ケント・ナガノ指揮は恥ずかしながら初めてでした。

 

ベートーヴェンといえば、わたしが今までよく聴いたのはフルトヴェングラー。これは完全に父の影響です。あとは今回のフェスにむけて、ラトルカラヤンも一通り聴きました。

そのくらいの下地しかない状態だったので難しいことはまったくわかりませんでしたが、初めて生で聴いたケント・ナガノ×OSMは本当に素晴らしかった!(語彙力が足りず申し訳ないのですが…)

 

全部の交響曲について書きたいのですが洒落にならない長さになりそうなので、それぞれのメインだった交響曲第6番、第7番、第3番について書いていきますね。

 

1日めの曲目

 

初日は第2第6。わたしはベートーヴェンの交響曲のなかではこのPastorale(第6)が一番好きです。もっというと第6第7が飛び抜けて好きです。

なかなか第6が好きという方にお会いできないのが若干さみしいところですが…。ぜひ聴いてみてね…。

 

たとえばフルトヴェングラーPastoraleはわりと情緒的を通りこして情念が強いというか、そういう印象なのですが、今回はもっと端正なイメージ。

そもそもケント・ナガノの指揮がものすごく知的で端正で、全体的に派手な動きはないかわりに無駄な動きもなく、それにOSMの音がとても上品に乗っかっていくかんじなので「嫌われない演奏」だなと思いました。消極的な意味ではなくてね!良い意味で、本当に印象の良い音楽でした。

OSM自体の雰囲気というか、もはやケント・ナガノの佇まいも素敵だった。

 

今回のPastoraleのなにが良かったかというと、ホルン。プリンシパルのJohn Zirbelの音が個人的にとっても好みで、するりと音が鳴りはじめた途端にもう耳も目も釘付けでした。後になって調べてみたらマギル大学で教えているみたい。なるほど、先生なのね。なんて贅沢なんだろう。

Pastoraleにおけるホルンは全楽章を通してつねに目立つわけではないのだけれど、ものすごく重要だと(個人的に)思っているので、あの音色だけでも大満足でした。素人考えながらPastoraleで一番重要な楽器なのではないかとひそかに思っているのですが、いかがでしょう。

John Zirbelの音は色彩豊かなのだけど他の楽器への重ね方が本当に繊細で、きらきらしてた。と、言葉を尽くしてはみたものの実際に聴いた瞬間は「わぁ、あの人うまい!」とはしゃいだだけなのですが。

ちなみに彼の好きな作曲家はベートーヴェンではなくバッハシュトラウスでした~。バッハ聴いてみたいな。来日してくれないかな。

 

この日の演奏は、強いていえば弦楽器の相性がすこし気になったかもしれません。とくにチェロが曲の良いところでちょっとばらけたように感じた一瞬があって、逆にじぶんの空耳だったのかしらと疑っている部分が一箇所あります。

あのばらつきの真相はわからないにしても、2日めのほうが弦楽器の統制がとれていたのは確かです。

 

2日めの曲目

 

翌日は第8第7。そもそも第7は好きですが、そのなかでもフルトヴェングラー第7が大好きなのです。父が「ベートーヴェンといえばフルトヴェングラー×ベルリンフィルだよ」と幼い頃からわたしに刷り込んできたおかげで、クラシックのなかでは珍しく(たぶん唯一)全身全霊で聴きこんでいる楽曲です。

 

そのため開演前からどきどきしながら座っていたのですが、そんな妙な緊張を吹き飛ばすほど、この第7は圧巻の一言でした。

 

が、このときの第8もすごかったのですこし触れさせてください。

第8は今まであまり印象に残っていなくて(正直フルトヴェングラー第8はやりすぎなかんじがしてあまり聴いてこなかった)、演奏会の前に予習をしておこうと他の指揮者の音源をいくつか聞いてみてもピンとこなかったのでどうなることやらと思っていたのですが、杞憂でした。

 

こんなに生き生きしたかんじの曲だったかしらと目から鱗。演奏的な好みでは2日めが圧勝でしたが、単純に結局の好みでいうと第7に並ぶかもしれない。

第一楽章、Cのオクターブ(あってますか?)で鳴らすタン タタタタン タタタタン タタタタン タタタタンのところ(伝わりますか?)が痛快で、「そうか、この曲って3拍子だ」と不意に思って、そこからもう引きずりこまれました。

 

たぶんこれは、生演奏ということももちろんあるにしても、ケント・ナガノ第8というのが大きかったのかなと。彼のエレガントなのに軽やかなメロディーの導き方と、それをさらに華やかに昇華させていくOSMの音色とが、第8のもつ特徴によく合っているように思えました。

これはちょっと、またべつの機会にほかのオーケストラの第8を生で聴きにいかなくてはという気分です。

 

演奏者(出演はここから日毎に入れ替わり)

 

そして第7。名演でした。

3日間、6曲聴いた交響曲のなかでも比べられないくらい良かった。

第1楽章、泣きましたもの…。序奏がゆったりと盛り上がってくるあたりからすでに涙が出てきて、フルートが軽やかに躍り出てくるところなんて完璧でした。

プリンシパルのTimothy Hutchinsが素晴らしいとしか言いようがない。音色はもちろんのことながら演奏姿勢もとても楽しげで、これが生演奏のひとつの醍醐味よねと思いながらまた泣く。第1楽章は視界が潤みっぱなしでした。

 

そこからの疾走感といったらもうたまらなかった。

とくに弦楽器の調整と規律が文句なし。ファーストバイオリンとセカンドバイオリンの掛け合いが楽しくて楽しくて、対面に配置されている面白味を堪能できました。

そういえばケント・ナガノ第7では執拗(当社比)にセカンドバイオリンへモーションをかけていて、まるでファーストよりも重視しているような素振りでしたが、結果的にうまれてくる音楽が最高だったので指揮者の力量に驚いています。

 

コントラバスもじつに均整がとれて良い音でした。第7は単純にかっこよかった。

わたしは合唱をやっていて、とある場面でローベース(男声の一番下)が「コントラバス20本分の響きが欲しい」と指示されているのを聞いてから急に初恋のようにコントラバスを意識するようになったのですが(笑)

 

わたしがOSMに惚れ込んだのは、このリズミカルな第7を単なるノリの良さで片づけるのではなく、フルトヴェングラーのように煽っていくのでもなく(あれもあれで中毒性があって大好き)、あくまで上品な華やかさを保っていたこと。

でも変な意味での優等生っぽさはなくて、すごく軽快な音楽の流れを作っていたこと。

 

この日はもちろんスタンディングオベーションでした。

 

3日めの曲目

 

3日めは第1第3。前の2日間は好きな曲だったので良い席で聴きたかったこともありそれぞれで3桁ドルずつ飛ばしましたが、この3日めはなんと34歳以下34ドルの席で観賞できました。3階席の端っこのほうだったので生演奏の迫力みたいなものからはやや遠い位置でしたが。

 

Héroïque(第3)は有名中の有名曲ではありますが、わたしはホルンの編成が3本ということくらいしか知りませんでした(こんなに無知でもクラシック音楽は楽しめますよ!)

あまりにも名曲だと騒がれるので、逆に良さがよくわからずにいたのですが、3日連続OSMベートーヴェンというのが耳にも心にもだいぶ影響を及ぼしていたらしく、素直に音楽につかることができたのは幸いでした。

感想としては、雄壮さというよりは堂々としたかんじ。日本語にすると微妙な違いなのですが、OSMはそういう印象です。指揮者と演奏者が変わるとここまで変化があるものなんですね。

 

これは楽譜を入手して譜面を追いかけながらまた聴いてみたいと思います。

たぶんそうするのがすごく楽しい曲ですよね?

 

さて、こちらもプリンシパルJohn Zirbel率いるホルンがとても良い役割を果たしていました。ただこの曲に関してはもう少し荘厳さがあっても良かったのかなとは思いますが、他の楽器との調和を考えるとおそらくあれがベストなのでしょう。重々しい響きのオーケストラではなかったので。

3日めの弦楽器はファーストバイオリンが際立っていました。第1楽章冒頭のチェロは言わずもがな。
この日のファーストバイオリンのなにが素晴らしかったかというと、高音で音量を絞ったときの響きが「バイオリン群」ではなくてひとつの楽器のように統一されていて、ほかの楽器のメロディーをまったく損なわなかったこと。あれはコンマスの力なのでしょうか…。

 

ケント・ナガノについて

 

それにしてもケント・ナガノ。背中を見ていてもなにも大袈裟な動きはしないのに、ああいう音楽を練り上げる、あのバランス感覚はなんなんだろう。

基本的にはロマンチックすぎず、機械的すぎず、すごく朗らかで明るい音を鳴らします。それが一連の音の流れになってくると、根底にはその明朗さを保ちながらもかなり注意深く響きを変えてくるので、とにかく聴き心地が良い。とても好きです。

OSMは前任のデュトワが率いていた頃は「フランスよりもフランスらしい」と評されていたため、わたしは最初からそういう色眼鏡をかけて接してしまったので「ああ、これがフランスらしい音楽なのね」という受け取り方をしていました。

今回、ケント・ナガノによる音楽を初めて聴いて、月並みな言葉ですが心底感動しました。

 

下手な知識や評価、評判を気にするより、なにもわからなくてもとりあえず飛び込んでみることがクラシック音楽でも必要なのかなと。何事も先入観をなくすことは大事のようです。第一印象が大切なのは人間だけじゃないのね。

馴染みのない方にとってはクラシックというと敷居がすこし高いかもしれませんが、たとえばマナーにしても特別なことはなく、思いやりを忘れなければ大丈夫です~。

 

今回は格式ばったコンサートというよりはフェスティバルと銘打たれていたから余計にそうなのだと思いますが、Tシャツやサンダルの方もちらほら見かけました。

わたしとしては気分の問題でコンサートはお洒落をしていきたい派ですが、こういうふうに気軽にクラシックコンサートをみんなが聴きにこられる風潮はとっても素敵だなと思いました。

 

モントリオールを訪れる際は、ぜひこの素晴らしいオーケストラの生演奏を聴きにいってみてください。

以上!

 

最近動画で街を紹介し始めたTwitter:@user_addr

映えを求めては悩むInstagram:user.addr

 

世界最安を目指す無料留学相談フォーム

留学検討中の国

名前

メールアドレス
電話番号

〜年生まれ

住所(都道府県)

予定出発時期

予定留学期間

気になること

希望カウンセリング方法

留学中の方、語学学校登録が完了している方は対象外となります。

備考